遭難 幻覚 彷徨い
夏山は「梅雨明け10日間」と言って今の時期が最も安定した天候になるらしい。
鳥取辺りで35℃を記録するこの頃、アルプス3000メートル級の山頂の気温は10~15℃前後とやや涼しすぎる位、ただ一度雨風が起これば体感気温は氷点下になるらしい・・・。
アルプスの1日は、朝4時起床し、ご来光を仰ぎ、
6時過ぎには出発して、5~6時間歩いて、
次の目的地には昼頃か遅くとも午後3時までに到着するのが鉄則。
夏場は午後雷雲が発達し、3時以降に雷雨となる確率が極めて高いからだ。
山本を読むと、その圧倒されるほどの景気を妄想してしまう。
もちろん、いい天気の時の写真しか載せていないのだから・・・
乗鞍はHCの後に是非とも登りたい。
その後、去年のリベンジを果たせるか・・・
ヤマケイの今月号は遭難特集。
中高年の遭難が増加多発する中、いろいろな検証や分析が行われ、解説されている。
私自身、2年前の地獄谷遡上の際にミスコースしてしまった苦い経験がある。
今では笑い話になるが、ルート途中の標識をフィヨルドさんとともに見落としていた。
この先にまだルートがあると変に信じていた。
自信過剰だったかもしれない。
同じと年、うちのおばさんが剣岳で滑落した。
丁度、乗鞍の前の週、雨の中ムリをして1人でアタックしていたらしい。
山小屋には同行していた従兄弟がいたが、引き留められなかったことを悔やんだ。
とても元気で明るい叔母だった。
さて、記事で興味深いことが何点か。
まずは山岳保険について。
事故を分析すると、事故の場所が特定できる場合は比較的救助費用が掛からないのに対して、場所がわからない場合は、多額の費用が掛かるらしい。
谷底でも山頂でも捜索や救助する場所が決まっていれば、そこに向かって助け出すので、冬山などを除いて時間や人員も最小限だが、場所がわからずどこで倒れているかわからないケースは、日数も人員も青天井となってしまう。
場所を特定するために、登山計画書が提出されていると探す範囲を絞り込めることができ、早期発見に繫がっているらしい。
大人らしく、自分の行動に責任と計画性を持って示すことが大切ということ。
あと、遭難後の行動について。
遭難に遭ったことを自覚できればいいが、なかなか出来ない人も多い。
自信があったり、他人についていって迷ったり。
気づけば遭難していて、脱出するために、やみくもに地理のわからない山の中を歩き回ることで体力が急激に低下し、夜を越えると疲れは更に増す。
体力の低下とともに、様々な幻覚が現れるらしい。
以下その体験談。
・出口となる登山道が目の前に見える。
・木に案内板が架かっていて、見ようと近づくと別の木に移ってしまう。
・山小屋が見えたので、荷物を投げ捨てて走っていくと何もなく、荷物も失った。
・腕時計が2つ見え、外したら腕時計がなくなった。
・家が見え、風呂に入れると思い、靴を脱いだら靴も無くなってしまった。
見える物全てが幻覚となったり、幻覚と現実の違いも判らなくなってしまう。
通常ではない異常な場面でどう対応するか。
その異常とならないためには、どう準備できるか。