sawadake-Blog -Third Stage-

今年の春から、また2人となりました・・・

考えることをあきらめない

昨日の現地で聞いた言葉。
ただ単に、毎日決まった作業を淡々とこなすだけだが、それでも毎日の作業は日々異なる。
どうせやるなら、目に見えないかもしれないが、日々工夫して労働時間や労力の改善を目指そうと考える。


人は考えるのをあきらめたら終わりだ。
考えずに行う作業と、何かしら意識しながら行う作業は、一見同じに見えても全く違う。
ここが全てのポイント。


片側4頭のパーラーに入ってきた搾乳牛を効率よく搾るためには前2頭と後ろ2頭を別けて前搾り・清拭・ミルカー装着の手順をするよう指導することが多い。
しかし、実際には様々な牛が居て、乳量が大きくて時間の掛かる牛・搾りがしぶくて時間の掛かる牛・乳房の位置や張り方が特異なため装着に時間の掛かる牛など様々だ。
そこで、ある人は日々考えた。
そして、4頭が最後同時に搾り終わるようなイメージで、前作業の順番を考えてみた。
4頭入ってきても、前から順番に作業を始めるのではなく、牛にあわせて、手間の掛かる牛から作業を開始し、手間の掛からない牛を最後に装着する。
理論的には、搾乳終了が同時に終わるような装着方法だ。
実際には、4頭のセットは、朝晩・日々全く異なるため、農場にいる全ての牛の基礎データと牛の特徴を全てインプットして4頭が入ってきた瞬間には順列を組まなければならない。
順番が決まると、1頭ずつ前搾りから始めるが、この前搾りも十二分に行って、オキシトシンの分泌を促進し、搾乳前過搾乳を防止することにした。
もちろん、朝晩で搾乳量がかなり違うため、晩は前搾り回数を意識的に増やす。
1頭の一連の搾乳前作業を終えると、一息ついてから次の牛に取りかかる。
時間と心の余裕を取り戻すために。
これを4頭繰り返し、あとは搾りきって後作業を待つのみ。
この繰り返しを日々心の中で探求心とともに実践してきた。


結果、搾乳時間が20分以上短縮。
朝晩なら40分以上の短縮、年間だと250時間近く、10日間×2人の労力となる。
時給1000円なら25万円/人×2人の効果か?
搾乳牛は前搾り回数の増加によって、徐々に乳を降ろすのが速くなり、サッと搾りきれるようになったらしい。
時間が空けば、自然と搾乳中の牛の観察となる。
毛づやや腹の張り・蹄の状態などおかしい牛の発見にもつながっていく。
そして、搾られる牛も気持ちいいのか目をつむり、落ち着いているそうだ。


搾乳時間短縮だが効果ではない。
搾乳に関する事故も大幅軽減された。
観察による早期発見効果なんだろう。
乳房炎などが減れば、廃棄する牛乳も大幅に減る。
ムダな治療必要も軽減される。


搾乳は、農作物で言うと大切な収穫作業であり、牛のコンディションを見る大事な時間。
日々考え続け、行動する力は、目に見えないが、確実に改善への道を進める力でもある。
いろいろと教えてもらった1日だった。