経営改善への長き道のり
人によって仕事の内容・量・質は大きく異なる。
時には方向を見失ったり、モチベーションが低下してしまうこともあるだろう。
鳥取で働き始めて4半世紀を超えたが、私にとっての仕事は始めてから何一つかわっていないし、一貫して進むべき道はひとつしかないと思う。
その大半は、経営改善のための農家指導であって、大人への働きかけなのだと思う。
上の写真はある農家のトウモロコシ畑だが、今年は向こうにある家が見えないほど伸びた。
たぶんこれまで担当した普及員の誰もが見た事がない光景だと思う。
子実の付きや雑草の程度も悪くなく、地域の方々から「今年は何故だ?」という質問を受けることが多い。
一言でいえば、「播種時期と除草剤の効きがよかった」ということだろうと思う。
ただ、播種時期は前年対比で1週間程度早まっただけだが、それでも生育に明確に差が現れた。
たかが1週間、本当はあと4~5日は早くできるはずだか、これができそうで出来ない。
ということは、播種の前進化は、単に普及側がさせたことなのかもしれない。
除草剤に関しては、新製品が抜群の効きで、散布したタイミングもよかった。
イネ科だけでなく広葉の雑草も1週間後には白く枯れた。
大きな改革には、やはりイノベーションの力が必要だと感じた。
後で聞いた話では、家族が排水が悪いほ場に額縁明渠を機械を借りて掘っていたそうで、排水対策の徹底も大きな力になっているようだ。
家族を動かした力にも感謝するとともに感動した。
トウモロコシはただ単に生育して収穫したら終わりではなく、牛に給与し・乳を搾り・乳代精算されてやっと経営に帰ってくる。
今年のトウモロコシは、大半は来年の給与となり、その経営収支は来年が終わる頃にようやく数値化されるだろう。
それでも、ここ数年のトウモロコシ増産の取り組みは、ボディブローではないが、じわりじわりと効果を現し始めているのは確かだ。
ひとつは、年間を通じた購入粗飼料の低減効果として、
ひとつは、安定したサイレージ品質が夏場の乾物摂取量低下防止対策として、
つまり、乳代精算が確実に増えたことと、夏場の乳房炎事故や乳量低下が少なくなっている。
こちらは、今年扇風機を増設した農場。
ダクトファンで風をビニールの筒に送り、ビニールに開けられた穴から家畜1頭1頭に送風される仕組み。
施設や機械が老朽化していたが、ここ数年で加速度的に整備される予定。
もちろん自分で作るのが基本。
自分で作れば、壊れた時にも自分で治すられることができるし、安いのが一番。
毎日の管理を体力任せにしてきたが、省力化・頭数規模を見直して、自己販売に労力をシフトさせ、経営安定・改善を目指すのが最終目標。
毎日の取り組み1つ1つが勉強であり、積み重ねであり、それが長きにわたって功績となって現れる日が来ると思う。
もうひとつ、ここ4~5年ほど通っている農家。
特に何か言える立場にはないが、それでも提案したり、更なる改善のための検討も進めいる。
ここのネットはとても効果がある。
畜舎のまわりは川や田んぼなど、自然が豊かでアブ・蚊・ハエも多いが、ネットのお陰でかなり制限できている。
今年も従業員とネットの交換場所の確認・作業を進めた。
ネットのお陰で寝る牛が増え、わざわざ起こしに牛房に入っていたそうだが、某F肉さん情報を提供したら「アイコンタクト」で牛を起こせるようになったとか。
牛の顔もほぼ記憶し、牛の優劣関係や体調なども把握し早めの対応につながっている。
ここでは今年「ゆらぎ」効果の装置を検討している。
ゆらぎで自然に近く、また節電効果も高いそうだ。
ただ、施設や装置だけでなく、観察力・管理力が成績となって現れていると思う。
この前6月末で4半期検討が終わったが、9月が終わればもう中間検討の時期となる。
時間の流れがはやい日々だが、
定期的に振り返りを忘れず・自身のことも含めて改善活動を続けていくことが、自分に科せられた使命でもある。